請負者の使用者責任

2011.09.30

ある事業のために他人を使用する者は、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。使用者に代わって事業を監督する者も同様の責任を負います(民法第七一五条)。これが使用者責任です。ところで、請負契約においては、注文者は工事中に請負者が第三者に与えた損害については賠償する責に任じませんから(民法第七一六条)、元請負者が工事を下請に出した場合、元請負者は注文者ですから下請負者が施工中に第三者に与えた損害について賠償の責任はないはずです。しかし、下請負という形をとっていても、実質的には民法第七一五条にいう使用・従属の関係にあるとして元請負者が使用者責任を負わされる場合が少なくありません。しかも、一次の下請に限らず、二次・三次の下請についても同様です。例えば、東京控判昭和一二・二・二〇があります。これは労災事故に関するものですが、事案は、孫請負者の土工がビル新築工事の四階で作業中にコンクリートを流す樋を落して、二階で送電線の配管工事をしていた他の下請負者の臨時工業労働者が傷害を受けたものです。被害者は雇主たる下請負者及び元請負者を相手どって損害賠償請求の訴を起しましたが、裁判所は本件加害行為は元請負者の指揮監督権の及びうる事業の範囲内において事実上被害者に加えられたものと認めるのを相当とすると判示し、元請負者に損害賠償を命じました。

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