日本の自由教育の発祥地である自由学園(一九二二・東京都豊島区)は、二十世紀を代表する建築家、フランク・ロイド・ライトによって設計された。この建物が改修工事中であるという話を聞き、作業所に出かけてみた。工事囲いのなかにある自由学園は、美しい緑青の銅板が戦争によって剥がされ、また、増築により建築当初とは様相を異にしていた。ライトの設計理念は大地と一体となる造形、地を這うような「草原住宅」である。床面が低いので外の景色に気を取られずに落ち着いた空間が構成され、学習環境には最適だったかもしれない。だが、高温多湿の日本にプレーリー設計という草原に建つ住宅仕様を持ち込んだため、地面に近い床面は腐りやすくなる。しかもこの建物は、実に厳しい短工期でつくられたのだ。数多くある木造の扉は窓が三ヶ所しか開かないほど建物に歪みが出ていた。しかし、帝国ホテルの内装の漆喰で見せたライトの設計の腕は、ここでたっぷりと味わうことができる。
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